
「世にも非道な物語」
作 どらぽん
やんちゃなサルがいました。山からおりて、里で農作物を
あらしては、農民をいじめてばかりいました。
サルは頭がとてもよくて、農民の頭では勝てないのです。
それくらいに、頭の良い、悪知恵の働くサルでした。
そこで、腕利きのりょうしが何人か、りょう犬を連れて、
銃を持ってサルを殺そうとしました。
バン! バン!
銃が鳴り響き、農民たちはサルが死んだと喜んだり、殺生はやっぱりひどい、
などと、信心深い農民は手を合わせて祈ったりしました。
ところがです。
りょうしたちは、サルを殺すどころか、顔中に引っかき傷を負う始末、サルには
銃弾一つ当てられなかったそうです。
りょう犬ですら、しっぽを巻いて弱そうに鳴いていました。
農民たちはがっかりしました。
サルは、よくも、りょうしを呼んだと言わんばかりに、今度は
手下を連れては、里へ下りて農作物を荒らすのです。
それで、農民たちは飢え死にすると覚悟しました。
そうなると、農民たちはもう泣くしかありません。
泣きべそかいて暮らしました。
そこで、ある日のこと、商売人がやってきて、
変な音の鳴る機械を持ってきました。
そして、言いました。
「害獣や害虫にくじょにどうですか?
今なら安いよ」
と言ってきて、聞けば高価な機械で、農民には
手が出ません。リースもあると聞いて、お試し期間
だと言うので、試してみた農民ですが、
効果はてきめん!
サルはもう来ませんでした!
「おお! この機械はすごい」
農民たちはぜひ買いたかったくらいですが、
とてつもなく高いのです。
お金のない農民たちは、リース料を支払うことにしたのですが、
リースの代金はサルが農作物をあらしてだす被害額と同じかそれ以上でした。
サルもサルなら人も人です。と言いたいところですが、商売人の尻からは、
悪魔のようなしっぽが生えていたということでした。
農民たちはいつまでも農民と言うことでしょうか?
(なんとも、ひどいはなしだ! )
おしまい