
「北風と太陽と旅人」
作 どらぽん
太陽がありました。旅人がいました。
旅人は言いました。
「暑いなあ。暑いなあ」
(そら、もっと暑くしよう)
と、いじわるな太陽は、さんざんぱら暑くしました。
旅人は言いました。
「こんなに暑いと、ビールが飲みたくなるな」
といって、ストアーに行って、缶ビールを買いました。
「うまい、うまいなあ」
とか、いって、旅人は大喜び。
(な、なんだあ、あいつ暑いとうれしいのか? )
太陽はがっかりしました。
旅人が暑い暑いと苦しみのを、喜んで見ていたいからでした。
北風がありました。旅人がいました。
「寒いなあ。寒いなあ」
と、旅人が言いました。
北風は喜んで、
(そら、もっと北風を吹かせて、寒がらせよう)
と、北風もいじわるなんですね。
びゅう、びゅう、北風は吹きました。
「寒い、寒い。こんな日は、おでんと熱かんだな」
と、日本酒を思い浮かべて、にたりと笑い。
旅人は、お店に入って、
「熱かん一合。おでん、みつくろって」
とか言って、つまみにおでんをむしゃむしゃ、ぐいのみで、
日本酒ぐいっといって、
「やっぱ、こんな寒い日は、おでんに日本酒の熱かんやね」
旅人が、陽気に言うと、北風は、がっくり肩を落とすみたいに、
悔しそうにいたと言うことです。
おしまい