「敵に回すな」
どらぽん
大きな貝と小さな貝がいました。
「おまえは、小さいなあ、ちっこいなあ」
負けじと、小さな貝はいいました。
「おまえは、大きいなあ、でかいなあ」
お互いに、腹を立てました。
小さな貝が、岩についた海草を食べていました。
すると、大きな貝がやってきていいました。
「おお、うまそうな海草だな、食ってみるか」
大きな貝は、そういうと、海草をむしゃむしゃ食べて、
小さな貝の食べるなわばりの海草を、みんな食べてしまいました。
これには、小さな貝も怒りました。
けれども、正面から戦っても、小さな貝では、勝てたりしません。
「今に見ておれ! 」
小さな貝は、小さくいい放ちました。
大きな貝の耳にも、小さな貝の不敵な声が入りましたが、
あんなちっぽけな貝に、なにができるんだと、笑いました。
小さな貝は、ひそかに仲間を集めて、大きな貝の
なわばりに、大挙してい押し寄せ、大きな貝の食べる
海草をみんな食べてしましました。
大きな貝の食べる海草が、みんな食べられなくなってしまった、
ので、大きな貝は、食べ物を求めて、海のあちらこちらに、
さまよいました。もうへとへとです。
大きな貝は思いました。
こんどのことは、小さな貝のやつが、オレの食い物を、
うばって食ったせいだ。ぜったいにゆるさねえ。
そう思っていると、小さな貝はにやにやと笑って、
大きな貝にいいました。
「大きな貝は、くいもんにこまってらあ。でかい
だけで、くいいじはるからな」
「くそう! 」
大きな貝は、みるまに激怒して、もうタックルで、
小さな貝に、体当たりをしました。
小さな貝は、たまったものではなく、小さな貝は、
2つに折れて、割れて、中の身が飛び出て、
小さな貝は死にました。
小さな貝は死ぬと、こどもの貝の卵が、辺り一面に、
飛び散って、大きな貝は、
「ざまああみろ」
と、叫ぶのですが、のちに、小さな貝のこどもたちが、
大量に育ったのです。
そんなもんだから、大きな貝の食べる海草は、みんな
食べられてしまって、大きな貝は餓死しました。
そうです。大きな貝が餓死したとき、
「おれは、結局、小さな貝に殺されたんだ。
小さいからってバカにして、敵にまわさなきゃ、よかった」
そういい残しました。
まったく、おそろしいはなしです。
弱いからってバカにして、敵にまわすと、あとあと、
いろんな目に遭いますね。
おしまい