「善人から巻き上げろ! 」
どらぽん
とあるところに、頭の悪い悪党がいました。
悪党というだけあって、三人いました。
三人の悪党たちは、悪だくみを考え、町に
出かけていきました。
善人をだまして、お金を奪うという、計画だけは
立てました。悪党は、頭が悪いので、いわゆるバカなのだ。
どうやったら、善人をだませるかが分からないでいるんだ。
だから、人の好さげな男に声を掛けてみて、
「ねえ、あなた善人ですか? 」
「うーん。善人と言われたいけど、善人でないかもな」
「そうか、善人でないのか」
「うん」
「おれたちは、善人からお金を巻き上げようとしてるんだ。
だから、あんた用はないから」
「へーえ」
男は、すぐ、こいつら、バカんんだと、気づきましたが、だまって、
「おれは、善人じゃないから、仕方ないな」
とか言って、足早に立ち去りました。
悪党たち三人は、今度は女の人に声を掛けて、
「ねえ、あんたは、善人かい? 」
「そうよ、善人よ」
女は誇らしげに言いました。
すると、おまわりさんがやってきて、悪党たちに、
言いました。
「お前ら、善人からお金を巻き上げようとしているな」
と言うと、悪党たちは、もうばれたのかと、観念しました。
「ちょっと! どういうこと? 善人だというだけで、
お金を巻き上げちゃうの? 」
女は、キリキリとした高い声でを張り上げ、怒りました。
悪党たちは、やれやれ、だと思い、ため息を深く吐きました。
おまわりだけは、声を上げて続けて、
「被害はまだ出てないな? 」
悪党たちは、まだ金品やらを奪っておらず、未遂で終わっているので、
始末書だけで、悪党たちへの処分は済みそうです。
それからです、しばらくして、悪党三人は釈放されました。
「くそ」「くそ」
と、ふたりの悪党が言うと、
「やれやれだな」
と、三人目が言うので、三人とも笑いました。
「おまわりの財布盗んでやった」
「少ししかないの、バカだねえ」
「というか、善人から巻き上げるんだろ」
三人とも言います。
「善人づらしてる、おまわりから、巻き上げるんだ」
「そうだ! 」
「おれたちを、悪党あつかいしやがって! 」
いつまでも、悪党三人は、笑い続けたと言うことです。
計画は成功したんですね?
おしまい