「魂を救済する医師」
どらぽん
とある町に医者がいました。
さらに、隣の町にも医者がいました。
一人は、無免許医で、ひとりは免許をもっていました。
無免許医は、腕がよくて病気もよく治しました。診療費も無免許というので、
安くて薬も安い薬をさがしてくれて、しかもよく効く薬でした。
免許を持っている医者はおもしろくありません。
なので、警察に訴えて、無免許医はたいほされました。
ある町の医師はたいほされて、医師がいなくなり、困っていると、
免許を持っている医師の町へ、診察を受けにいくことになりました。
それまでは、治る病気もさっぱり治らず、薬もさらに高いときて、町の住人は怒ってし
まいました。
町の長をふくめて、都会の人たちのえらい人にかけあい、医師をはけんしてほしいと、
願いを入れると、それがだめなら、たいほされた無免許医をしゃくほうしてほしい。
と、さらにお願いしました。
しかし、都会には都会の決まりがあると、いってんばり、無免許医のしゃくほうはだめで、
新たな医師のはけんも当分は無理のようです。
悪徳医師の免許医が、善良なる町人をだますようにして、治療費をとるのです。
無免許医のいた町の人たちは、このままではすまさないと、いいかげんにしろと、
怒りにまかせて、えいやーとばかりに、免許を持った医師を殺して、都会へと流れ込んでいきました。
そうです、無免許医を逃がしました。
それからです、町の人がそう集結して、都会の兵団と戦いました。
町の人たちは勇敢で、死力を尽くして戦いましたが、多勢に無勢しまいの果てに、
町の人たちは、その多くはこの戦いで戦死しました。
町の長は、クーデターの罪として、死刑になるのが決まりでした。
そのためか、こうさんしないで、みずから命を絶ちました。
それで、無免許医は、どうなったのかといえば、命からからがら国の外へと、
逃げ出したのでした。
そして、それから何十年ののちに、無免許医は、元のいた町に戻って、亡くなった町人のお墓の一つ一つに、
休まずお花を手向けて祈りました。
「この世界に、神がいるとしたら、けれど、もしいるとしたら、どうかこの人たちの魂に、
永遠の休息と救済を与えてくださいますように」
無免許医はそういうと、涙をひとしずくこぼしました。
涙の水滴が、あるお墓に落ちました。水滴の水玉が1つできたお墓は、
免許医の墓でした。
かつてのライバルであり、悪徳医師が、無免許医を奈落に落としたのです。
無免許医は、悪徳医師にすら、涙するのです。
あんなやつに、魂の救済なんて、必要なのか?
?
とか、おもいますね???
おしまい